2007年11月12日
高崎周辺のぶらり水紀行 vol-2
2007/07/20号ちいきしんぶん掲載
「十丈の滝」落差18m(高崎市倉渕町)
人知れず幽谷で曲線美を描く孤高の滝
途中まで看板も道標もないため、行き着くのはかなり難しい。それだけに滝を眼前にしたときの感動は、ひとしおだ。黒々と光る岩盤を、ジグザグに曲がりながら落ちる美しいフォルムは、眺める者を魅了する。
「十丈の滝」落差18m(高崎市倉渕町)人知れず幽谷で曲線美を描く孤高の滝
途中まで看板も道標もないため、行き着くのはかなり難しい。それだけに滝を眼前にしたときの感動は、ひとしおだ。黒々と光る岩盤を、ジグザグに曲がりながら落ちる美しいフォルムは、眺める者を魅了する。
■せせらぎの音を聴きながら行く水紀行の小さな旅は、今回も高崎駅から始まる。西口3番のりばより、室田行きの群馬バスに乗り込んだ。ぐるりんバスの方が目的地の近くまで行けるのだが、始発が9時過ぎと遅いため、やむなくの手段である。終点の「榛名営業所」で乗り換え、「十一屋前」のバス停で下車。国道から烏川を渡り、県道を横切り、そのまま坂道を上り出す。
「福祉総合センター」または「せせらぎ公園」の標識が目印となる。坂の途中の天満宮にお参りをして、いざ出発である。これより相間川沿いをひたすら歩くことになる。やがて左手眼下に、センターの建物と公園が見えた。車で訪ねる人は、ここに置いて歩き出すといいかもしれない。
センターを過ぎると人家はなくなり、未舗装の林道が始まる。杉の木立ちが日の光を遮ってくれ、実に歩きやすい。が、道はかなりの悪路である。滝の入口まで車でも行けるようだが、車高の高い四駆車でないと厳しいかもしれない。片側は崖、ガードレールもない、車1台がやっと通れる道幅である。やはり、徒歩が賢明だろう。
約1時間半歩いたところで、岩肌からコンコンと湧き出る清水を発見! 両手ですくってゴクゴクと何杯も飲み干す。ひと息ついたら、汗も引いていった。
■橋を渡ると別世界が待っていた1つ目の橋が現れた。相間川を左岸から右岸へ渡ると、景色は一層山深くなり、渓流には巨石が多くなった。時折、コバルトブルーの流れのなかに魚影を見かける。頭上高く夏の太陽が照りつけているが、V字谷の底は川風に吹かれていて快適な歩きが楽しめる。
2つ目の橋を渡ると、そこからは別世界が待っていた。苔をむした岩々が川面に顔を出す本流へ、右から左からといくつもの枝沢が入り込み、それぞれが名もない滝となり流れ落ちている。水量の少ない雨垂れのような滝もあれば、二段の滝、三段の滝もある。と思えば、優に20m以上はありそうな壮大な滝まで現れる。その数は、なんと10以上もあった。まさに、ここは群馬の「奥入瀬渓谷」である。でも、1つとして案内板は立っていない。いやいや、目指そうとしている「十丈の滝」の道標すら、まだ一度も見ていないのだ。たぶん、今までに多くの人が滝にたどり着けずに引き返したことだろう。僕も少々、不安になってきた。
3つ目の橋の先で二股に分かれるが、そのまま道なりに右手の道を行く。上空に走る送電線を目印に進むと、やがて道の端に車が2〜3台駐車できるスペースがあり、『十丈の滝 入口』と書かれた小さな看板が立っていた。バス停からここまで徒行約2時間半、初めて見る道標である。
■独特のフォルムを描く姿に圧倒ここから沢に降りる。川を渡り、崖を登り、岩をはいあがる。軍手と滑り止めの付いた靴は必携である。相変わらず道標はないが、所々、石にペンキで黄色い丸が書かれているので、迷うことはない。とにかく上流を目指せばいいのだ。川の右へ左へと石を頼りに渡ること約20分、突然、視界に滝が現れた。
落差は、さほど高く感じられないが、その独特のフォルムに圧倒される。黒光りする岩盤の間をぬって、Z字型にジグザグと曲がりながら落ちる滝は珍しい。暗闇に走る白い稲妻のようにも見えるし、天に昇る白竜の姿にも映る。ただただ、美しいのひと言だ。3時間近い道のりを歩くだけの価値が十分にある滝である。
滝壺で昼食を済ませ、復路をたどった。帰りは、ただひたすらに下り坂である。人知れず幽谷に落ちる孤高の滝に出会えた喜びからか、心なしか足取りも軽い。約2時間で総合福祉センターのある、せせらぎ公園に着いた。
もう少し足をのばして、相間川温泉ふれあい館に寄って汗を流すことにした。ここからなら高崎駅まで、ぐるりんバス1本で帰れる。最終バスの時刻まで、のんびり湯上がりのビールを楽しんだ。(フリーライター/小暮 淳)

Posted by ちいきしんぶん at 13:14
│公共交通機関で行くぶらり水紀行

