2007年09月06日
高崎周辺の ぶらり水紀行-vol.4
「三波石峡」約1㎞(藤岡市鬼石町)巨石と奇岩をめぐりながら河床をゆく
上毛かるたに「三波石と共に名高い冬桜」と詠まれる名勝、三波石峡。
国の天然記念物にも指定されている知名度の高い渓谷でありながら、その全行程を歩いた人の話はあまり耳にしない。ならばと、勇んで挑戦してみたのだが……
県境の赤い橋から渓谷が始まる 高崎駅より八高線に乗り、3つ目の群馬藤岡駅で下車。駅前より今度は、上野村行きのバスに乗り換える。三波石峡は、下久保ダム直下から約1㎞下流の登仙橋までの間が、散策コースとなっている。橋に一番近いバス停は「今里」だ。下車すると、すぐに国道から下へ降りる道がある。あまり聞き慣れない温泉名だが、「三波石温泉入口」という看板が目印となる。
急坂を下りながら、のどかな集落のなかを歩くこと数分で県道に出る。ここにも市営のバス停があった。やがて前方に赤い橋が見えてきた。この登仙橋を渡れば、向こう岸は埼玉県である。
県道は橋を渡るが、そのまま直進をして神流川沿いの市道をゆく。道路から河床へ入る降り口は6ヵ所ある。1番は橋の手前だが、案内板のある次の2番降り口から入ることにした。「関東ふれあいの道」の道標もあり、立派な木製の階段が整備されていた。が、どう見ても、あまり利用されているとは思えない荒廃ぶりだ。踏み板は所々損壊し、苔をむしていて、雨上がりだけに滑りやすい。へっぴり腰で、河床にたどり着いた。
想像力を働かせて48石を探そう
三波石といえば、庭石として有名だが、江戸時代にはすでに銘石として珍重されていたという。主に神流川の支流の三波川から採れる緑色の岩石のことを、三波石と呼んでいる。
さあ、ここから「三波四十八石めぐり」が始まる。1番から48番まで、渓谷の転石には姿、形、伝説により名前が付けられているのだ。まずは1番を探す。
なぜか1番石は3つある。もっとも下流の左岸にあり、これが3つの波状に見えることから「三波石」と名付けられたといわれる由来の石だ。でも、見極めるのは至難の技である。とにかく石が多過ぎるのだ。それらしき3つの石を見つけ、自分なりに納得をして、散策のスタートを切った。
だが行く手は、いきなりヤブである。河床は夏草におおわれ、踏み後も判然としない。それでもヤブをかき分け進んだが、ついに巨岩にはばまれて断念!
仕方なく、いったん2番降り口に引き返し、市道を歩き3番降り口から改めて河床へ下りた。
この辺りには、3〜8番石が点在している。「築山石」「竜巻石」「獅子石」など興味をそそる名が付けられているが、僕の想像力が乏しいのか、どの石がどれなのか分からない。しばらく行くと前方に、一際特徴のある石が見えた。スフィンクスのような形をしている。20番の「猫石」に違いない。
そうこう奇岩の識別を楽しみながら歩いていると、突然道が消えた。手袋をしてヤブ漕ぎを続けるも、またもや岩壁に遮られてしまった。3番降り口にもどるには、歩程を稼ぎ過ぎている。見上げれば、頭上約10mのところに市道が見える。意を決して崖をよじ登ることにした。
ダムサイトに登り神流湖畔を周回
ふたたび4番降り口から河床へ。あずま屋があるが、やはり周辺は荒れている。25〜35番石が見渡せるビューポイントだ。一部、岩肌を横ばいするクサリ場もあるが、高度はないので危険はない。
この先、ヤブがひどくて3度目の断念!
市道にもどり上流へ進むと大きな駐車場に出た。ここに5番と6番の降り口がある。トイレや売店もあり、観光客はここに車を置いて、下の吊り橋から渓谷を眺めるように整備されている。
吊り橋の上からは30〜40番台の奇岩を見下ろす。背後には、コンクリート堤日本最長を誇る巨大なダム壁が……。渓谷美との対照が、なんとも不釣り合いな光景である。
下流の登仙橋からダム直下の吊り橋まで、たかだか1kmのコースだが、かなり難儀を強いられて、1時間半の歩程だった。
吊り橋を渡ると、そこは埼玉県。ダムサイトまでの長い上り坂を、汗をかきかき一気に登りつめた。エメラルドグリーンの湖水が、人造湖とは思えぬ美しさでたたずんでいる。
振り返れば、眼下に吊り橋と三波峡の奇岩群が箱庭のように見える。
このまま湖畔をぐるりと群馬県側まで歩くことにした。国道に出たらバス停を探し、のんびりとバスが来るのを待とう。帰りは桜山温泉で途中下車して、湯あがりのビールを楽しみたい。(フリーライター/小暮 淳)
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