2007年09月06日

いつまでも治らないその症状シックハウス症候群かもしれません!

ちいきしんぶん2007/09/7号掲載

お医者さんにきいてみよう健康シリーズ
内科・小児科その32
いつまでも治らないその症状シックハウス症候群かもしれません!


頭痛、めまい、吐き気、腹痛、耳鳴り、倦怠感……
目がチカチカする、鼻がムズムズする、喉がヒリヒリする……。そんな症状から頭痛、めまい、吐き気など、居住者に様々な体調不良を引き起こす『シックハウス症候群』。さらには不眠、うつ、不登校、引きこもりなどの精神症状へと悪化するケースも少なくない。どうしたら予防できるのか? シックハウス症候群の専門治療を続ける医学博士、青山美子先生に話を聞いた。

■高気密高断熱の家はガス部屋と同じ

—「シックハウス症候群」という言葉は耳にして知っていますが、どのようなことをいうのでしょうか?
 室内外を問わず、化学物質によって健康を害する疾患のことを「化学物質過敏症」といいます。その中で、住宅の高気密高断熱化や化学物質を放散する新建材、内装材などの使用により、新築や改築に伴って発病するケースが非常に多くなったために、「シックハウス症候群」という病名が出てきました。以前に比べると、国がVOC(揮発性有機化合物)の使用規制に乗り出したため、だいぶ改善されてきています。
 ところが、床下に撒かれた白アリ消毒用のクロルピリホスという猛毒の有機リン問題は、現在も未解決です。平成15年に、その使用は禁止されたのですが、それまでには白アリ消毒をしないと住宅金融公庫からお金が借りられないという時期もあり、クロルピリホスが撒かれたまま建っている家が、現在でも全国に約500万戸も残っていると言われています。大変揮発性が高いために、屋内はガス化した成分が充満し長期間残留します。

—家の中で揮発した化学物質にさらされると、どんな症状が起きるのでしょうか?
 慢性の頭痛や肩こり、めまい、吐き気を訴える方が非常に多いですね。それから疲れやすい、だるいという倦怠感。朝、起きられない。一日中寝ている。仕事や学校に行けない。子供の場合は、不登校や引きこもりになるケースも多くみられます。
 実は成長期にある子供のほうが、罹患しやすいんですね。乳児期では、やたら夜泣きをする、寝ないなどの異常な行動が出てきます。学童期には、学校へ行くと頭痛や吐き気、腹痛を訴えます。これは「シックスクール症候群」と呼び分けていますが、学校の校舎内
にも床のワックスや改修工事など、危険な化学物質がたくさん使われているわけです。
 悲劇なのは、そういった症状を訴えているにも係わらず「うちの子は根性がない」とか、「親の育て方が悪いから」と、家庭の内部に原因を求めてしまうことです。すべて化学物質が原因とは言い切れませんが、不登校、引きこもりの患者さんについて言えば、私の経験では7〜8割の患者さんの家に原因がありました。


■まず自分の家をチェックしてみよう

—シックハウス症候群の原因は、新建材や内装材、床下消毒剤などの他にもあるのでしょうか?
 実は知らず知らずのうちに、自ら家の中に持ち込んでいる化学物質が、たくさんあります。たとえば、殺虫剤の類。一般家庭でハエ、蚊、ゴキブリ、ダニの駆除に使用している殺虫剤には、かなり危険な有害物質が含まれているものがあります。昔なら、ハエは「ハエたたき」や「ハエ取りリボン」を使用していました。他の害虫に対しても、見つけた時の駆除はしても、今のように過剰な予防のための薬物散布はしませんでした。スプレー式殺虫剤、電子蚊取り線香、畳の防ダニ剤などなど、気化して体内に入ったら危険な化学物質は、当たり前の様に使用させています。トイレや玄関に置く、芳香剤や消臭剤も有害な揮発性化学物質です。
 シックハウス症候群は、広義に言えば必ずしも屋内だけとは限りません。家のまわり、庭や住宅環境にまでおよびます。害虫駆除剤や除草剤、農薬の散布です。競技場、公園、墓地、小学校や幼稚園でも使われています。山や林、森、ゴルフ場では害虫防除をしていたり、水田地帯ではラジコンの無人ヘリコプターによる農薬の空中散布が行われているところもあります。緑豊かな環境に住めば健康になれるというのは、とんでもない誤解です。車の排気ガスや工場地帯の排ガスが喘息などの原因として問題視されますが、むしろ気管支に障害を与える物質よりも、脳神経に障害を与える毒性を持つ農薬のほうが、はるかに問題だと思います。

—日常に氾濫している化学物質の害から、私たちができる身を守る方法というのはありますか?
 家の内外を問わず、無用な化学物質は使用しないことです。特に子供の育つ環境では、絶対に使わないこと! 発達障害を起こしかねません。
室内で殺虫剤を撒いていないか?
床下消毒をしたことはないか?
防虫剤、芳香剤、消臭剤などを使っていないか?など自分の家をチェックしてみてくださ
い。その上で、シックハウス症候群の特徴的な症状がある人は、専門家のアドバイスならびに治療を受けることをお勧めします。
 とかく日本人は完全主義なんですね。害虫が一匹でも出ると、徹底的に根絶させないと気がすまない。そんな潔癖症が悪しき方向に働いてしまった結果、今日の化学物質汚染を引き起こしてしまったんです。


■取材協力 青山内科・小児科医院
 前橋市古市町350
 TEL 027-251-2861

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