2008年03月21日
高崎周辺の里山をゆく vol.10「牛伏山(うしぶせやま)」
2008/3/21号ちいきしんぶん掲載
「牛伏山(うしぶせやま)」標高491m(多野郡吉井町)
東西二峰の山頂から絶景を見渡す

吉井三山」の一つ、牛伏山は昔から地元の人たちに「こんぴらやま」と呼ばれて親しまれている身近な里山。展望台のある山頂へは車でも行け、観光地として遊歩道や公園も整備されている。このシリーズでは、麓から二つの峰を西から東へ縦断した。
「牛伏山(うしぶせやま)」標高491m(多野郡吉井町)
東西二峰の山頂から絶景を見渡す

吉井三山」の一つ、牛伏山は昔から地元の人たちに「こんぴらやま」と呼ばれて親しまれている身近な里山。展望台のある山頂へは車でも行け、観光地として遊歩道や公園も整備されている。このシリーズでは、麓から二つの峰を西から東へ縦断した。
▲西峰の金比羅山を目指して
思えば、上信電鉄「吉井」駅に降り立つのは初めてだった。高崎から電車で約20分の距離なのに、改札口を抜けて駅前通りを歩き出すと、なんだかとても遠い町に来たような気分になる。
登山口のある「牛伏ドリームセンター」へは、町営バスが出ている。駅前バス停からも乗れるが、本数が少ないため役場隣の「消防署前」まで歩くことにした。こちらの方が登山口まで行くバスが多く通過するので便利である。
牛伏山の登山口はいくつかあるが、今回はドリームセンターから西へ200mほど行った北登山口からスタートすることにした。なだらかな雑木林の道は、ほどよく伐採されていて、とても歩きやすい。尾根からは、これから目指す牛伏山が見渡せる。牛が伏せている姿に似ていることから付いた山名のとおり、牛の背中のように2つの峰から成っている。東の城を模した展望台がある峰が「一郷山」、西の電波塔が建つ峰が「金比羅山」だ。牛伏山の山頂は、西のピークにある。
途中で車道を渡り、うっ蒼とした竹林の中を行く。時おり風に揺れて、竹と竹とがぶつかり合いカラカラと音をたてている。しばらく光の届かぬ日陰道歩きがつづいた。
やがて登山道は四つ辻に出た。左はドリームセンターへもどる道、直進も山頂へつづく登山道だが、近道をするぶん急登となる。西の尾根づたいを行く右の道を選んだ。
▲見晴台から吉井三山を一望
背の高い杉林の中、ゆるやかな坂道がつづく。きれいに枝打ちされた真っ直ぐな木々の間からは、いく筋もの陽光が降り注ぐように差し込んできて、とても気持ちがよい。林を抜けると、西が開けた尾根道へ出た。正面に「吉井三山」の一つ、地元では「城山」の名で親しまれている「八束山(やつかやま)」が見える。このシリーズの記念すべき第一回で紹介した里山だ。
いきなり急坂となるが、ひと登りで西端のピーク「見晴台」へ出た。八束山の向こうに、もう一つの吉井三山「朝日岳」が見える。山容が女性の寝姿に似ていることから別名「多胡美人」とも呼ばれている美しい山だ。遠く荒船山から浅間山まで、西方の眺望が素晴らしい。
小休止のあと、いよいよ登頂を目指す。車道を2回横切るが、その度に傾斜がきつくなっていく。2つ目の車道から登山道への取り付きにはロープ場がある。登り切ると、さらにグイグイと標高を上げて急坂がつづく。かなり息が荒くなってきた。前方には、直登の道が一直線にのびている。このあたりがコース最大の難所か……、「もうひと頑張り!」と自分に言い聞かせながら、一歩一歩足を踏ん張ること数分で、なだらかな尾根へ飛び出た。正面にNHKの電波塔が見える。その向こうのこんもりと一段高い所に、牛伏山の頂上を示す山名板が立っていた。
日当たりの良い南斜面で、昼食を取った。最近は、絶景をつまみにチョイッと日本酒をいただくのが、食後の楽しみになっている。
▲どこまでも広がる関東平野
山頂公園は見どころが多い。まずは金比羅山山頂の琴平神社に参拝して、鐘楼の鐘(平和の鐘)を突く。神社の下には何体もの観音像が祀られた洞窟もある。
両峰の中程に形のよい赤松がそびえている。昔、この松に天狗が住んでいて、町の娘に恋をした。若者に姿を変えて牛に乗って娘に会いに行ったが、娘の心は動かない。あきらめ切れない天狗は、娘の姿を山に変えてしまったという。その山が多胡美人の名で知られる朝日岳である。
松の脇には天狗が乗った臥牛石像が、その並びには作曲家の服部良一氏が訪れた記念に建てられた「青い山脈」の歌碑がある。
東端に建つ、一郷山城跡の展望台からの眺めは圧巻だ。視界をさえぎるものはなく、360度の大パノラマが楽しめる。とりわけ、どこまでも広がる関東平野の眺望は素晴らしい。
復路は東側のコースを下ることにした。第2駐車場までは車道を歩き、そこから登山道へ入ってみたものの、倒木やヤブがひどく、荒れていて難儀をした。第2駐車場からは車道を下ることをお勧めする。
やがて湯端温泉のあるT字路へ出た。ひと風呂浴びて行きたいところだが、湯端温泉は予約制なので断念し、もう少し先の吉井温泉「牛伏の湯」まで足をのばすことにした。帰りは上信電鉄「馬庭」駅まで歩き、家路についた。(フリーライター/小暮 淳)

●参考歩行時間:登山口ー(約50分)ー見晴台ー(約30分)ー山頂ー(約1時間)ー牛伏の湯ー(約50分)ー馬庭駅
思えば、上信電鉄「吉井」駅に降り立つのは初めてだった。高崎から電車で約20分の距離なのに、改札口を抜けて駅前通りを歩き出すと、なんだかとても遠い町に来たような気分になる。
登山口のある「牛伏ドリームセンター」へは、町営バスが出ている。駅前バス停からも乗れるが、本数が少ないため役場隣の「消防署前」まで歩くことにした。こちらの方が登山口まで行くバスが多く通過するので便利である。
牛伏山の登山口はいくつかあるが、今回はドリームセンターから西へ200mほど行った北登山口からスタートすることにした。なだらかな雑木林の道は、ほどよく伐採されていて、とても歩きやすい。尾根からは、これから目指す牛伏山が見渡せる。牛が伏せている姿に似ていることから付いた山名のとおり、牛の背中のように2つの峰から成っている。東の城を模した展望台がある峰が「一郷山」、西の電波塔が建つ峰が「金比羅山」だ。牛伏山の山頂は、西のピークにある。
途中で車道を渡り、うっ蒼とした竹林の中を行く。時おり風に揺れて、竹と竹とがぶつかり合いカラカラと音をたてている。しばらく光の届かぬ日陰道歩きがつづいた。
やがて登山道は四つ辻に出た。左はドリームセンターへもどる道、直進も山頂へつづく登山道だが、近道をするぶん急登となる。西の尾根づたいを行く右の道を選んだ。
▲見晴台から吉井三山を一望
背の高い杉林の中、ゆるやかな坂道がつづく。きれいに枝打ちされた真っ直ぐな木々の間からは、いく筋もの陽光が降り注ぐように差し込んできて、とても気持ちがよい。林を抜けると、西が開けた尾根道へ出た。正面に「吉井三山」の一つ、地元では「城山」の名で親しまれている「八束山(やつかやま)」が見える。このシリーズの記念すべき第一回で紹介した里山だ。いきなり急坂となるが、ひと登りで西端のピーク「見晴台」へ出た。八束山の向こうに、もう一つの吉井三山「朝日岳」が見える。山容が女性の寝姿に似ていることから別名「多胡美人」とも呼ばれている美しい山だ。遠く荒船山から浅間山まで、西方の眺望が素晴らしい。
小休止のあと、いよいよ登頂を目指す。車道を2回横切るが、その度に傾斜がきつくなっていく。2つ目の車道から登山道への取り付きにはロープ場がある。登り切ると、さらにグイグイと標高を上げて急坂がつづく。かなり息が荒くなってきた。前方には、直登の道が一直線にのびている。このあたりがコース最大の難所か……、「もうひと頑張り!」と自分に言い聞かせながら、一歩一歩足を踏ん張ること数分で、なだらかな尾根へ飛び出た。正面にNHKの電波塔が見える。その向こうのこんもりと一段高い所に、牛伏山の頂上を示す山名板が立っていた。
日当たりの良い南斜面で、昼食を取った。最近は、絶景をつまみにチョイッと日本酒をいただくのが、食後の楽しみになっている。
▲どこまでも広がる関東平野
山頂公園は見どころが多い。まずは金比羅山山頂の琴平神社に参拝して、鐘楼の鐘(平和の鐘)を突く。神社の下には何体もの観音像が祀られた洞窟もある。両峰の中程に形のよい赤松がそびえている。昔、この松に天狗が住んでいて、町の娘に恋をした。若者に姿を変えて牛に乗って娘に会いに行ったが、娘の心は動かない。あきらめ切れない天狗は、娘の姿を山に変えてしまったという。その山が多胡美人の名で知られる朝日岳である。
松の脇には天狗が乗った臥牛石像が、その並びには作曲家の服部良一氏が訪れた記念に建てられた「青い山脈」の歌碑がある。
東端に建つ、一郷山城跡の展望台からの眺めは圧巻だ。視界をさえぎるものはなく、360度の大パノラマが楽しめる。とりわけ、どこまでも広がる関東平野の眺望は素晴らしい。
復路は東側のコースを下ることにした。第2駐車場までは車道を歩き、そこから登山道へ入ってみたものの、倒木やヤブがひどく、荒れていて難儀をした。第2駐車場からは車道を下ることをお勧めする。
やがて湯端温泉のあるT字路へ出た。ひと風呂浴びて行きたいところだが、湯端温泉は予約制なので断念し、もう少し先の吉井温泉「牛伏の湯」まで足をのばすことにした。帰りは上信電鉄「馬庭」駅まで歩き、家路についた。(フリーライター/小暮 淳)

●参考歩行時間:登山口ー(約50分)ー見晴台ー(約30分)ー山頂ー(約1時間)ー牛伏の湯ー(約50分)ー馬庭駅
Posted by ちいきしんぶん at 09:47
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