2007年02月19日

恵まれた自然とふれ合う実践教育。

ちいきしんぶん2007/02/16号掲載


そこから育む「科学的思考力」とは−。
僕たち、私たちがんばってます
高崎市立下室田小学校(旧榛名町立第一小学校/田中友校長)では、恵まれた自然環境を活用した科学教育に取り組んでいる。自然観察や理科実験など、子どもの好奇心に応えたいという実践教育が、果たしてどのような成果をもたらしているのだろう。また、同校が何を目指して科学教育を取り入れているのか、興味深い。

 




●暮らしを「科学の目」で見る

子どもの好奇心は、大人が考えるよりもはるかに広範囲で、しかも本質をついてくる。好奇心をその場で封じ込めてしまうか、広げてあげられるかは、導き方にあるのだと下室田小学校を訪ねてみて、実感した。
 同校は、およそ2年前から「科学教育」に着目。理科担当の小森谷順一先生を中心にプログラムを構築した。
 「理科や科学というと、どうしても難しい計算などのイメージがありますが、本校では暮らしに関わるあらゆる事が、科学に結びつくと考えています。桜の観察やヘチマづくり、川の水質調査からブーメラン、熱気球づくりなど多岐にわたって子どもの好奇心に応えるようにしているんです。それがきちんと筋道を立てて分析、考察する思考力を高めると考えています」(小森谷先生)
 同校は、榛名山や烏川に囲まれ、自然の教材には事欠かない。中学年(3、4年生)は、カブトエビさがしや植物の観察といった、「自然とふれ合って感じること」を主眼に置き、そこから考察に進む。高学年(5、6年生)になると理科の実験などが中心になる。
「可能な限り実物を見せるようにしています。実際に見て触れて感動することで好奇心はさらに高まると思うんです。星の観察など夜の学習もありますが、保護者のみなさんの協力がそれらを可能にしてくれています」(小森谷先生)
 たとえば烏川の水質調査。昨年度はパックテストによる測定だけだったが、今年度は水生生物も調査した。それは県の職員の指導を受けながら、水生生物から川がどれくらいきれいなのかを考察するというものだ。
 花壇づくりでは、苗を植えるのではなく、土をこしらえ種から育てる 近くの森林では、山の下草刈りも行った。日曜日にもかかわらず、先生方の予想を上回る人数の参加があったという。

 ●優秀プロジェクト校、受賞! 
そうした科学教育の取り組みが、評価された。ソニー教育財団が、毎年全国の小中学校から「子ども科学教育プログラム」を公募。同校は、優秀校に選ばれたのだ。それも2年連続受賞という快挙である。
 ちなみに、この賞は、1972年に設立されたソニー教育財団が『科学を通して子どもたちの好奇心や創造力を増進するため』、毎年優れた取り組みをしている学校を支援するもの。
 「大変名誉なことですし、励みになりますね。おかげで、理科の先生方だけではなく、学校全体の志気が高まったように感じます。ただ、賞を取ることが目的なのではなく、あくまでも子どもたちの科学的思考力を高めたいというのが、本来のあり方ですから」
 と田中校長は、受賞を喜びながらも謙虚である。
 2年前、小森谷先生が赴任してから始まった科学教育プログラム。
 「教科書に書いてあることをそのまま覚えるだけではなく、実際に『どうなるか』、『どうだったか』を体験することが大事なんです。子どもたちの理科離れが進んでいるとよく言いますが、そんなことはないんです。興味のその先に踏み込めるよう指導してあげれば、子どもたちは応えてくれます」(小森谷先生) 先生の熱意が子どもたちの興味を駆り立てるのだろう。
「成果が急速に上がるというものではないですね。一般的に、今の子どもはゲームなど安易なものに流されやすいので、じっくり時間をかけて考えることに慣れていないように感じます」(田中校長)
 子どもたちの好奇心は着実に高まっているが、まだ自信のない子も多いという。
 たくさんの経験を積めば自信にもつながるだろう。それが、自ら学習したいという意欲につながることを期待したい。
●取材協力/高崎市立下室田小学校

平成19年度計画は、天体観察会、森林体験学習、川の水質調査、メダカの成長の継続観察、実験レポート指導で思考力向上を図る、科学クラブで発展的な学習を体験、自由研究、ビデオ製作などさまざまなプログラムや、指導方法の見直しが盛り込まれている。

Posted by ちいきしんぶん at 13:45 │2007年・特集記事