2008年02月14日
高崎周辺の里山をゆく vol.9「御嶽山(みたけやま)」
2008/2/15号ちいきしんぶん掲載
◎「御嶽山(みたけやま)」標高343m(埼玉県神川町)
上州と武州を一望する信仰の岩山
神流川をはさんだ鬼石町の対岸にそびえる御嶽山は、山そのものが金鑽(かなさな)神社の御神体となっている信仰の山。国の重要文化財「多宝塔」や天然記念物の「鏡岩」を巡りながら、絶景の頂上を目指した。
◎「御嶽山(みたけやま)」標高343m(埼玉県神川町)
上州と武州を一望する信仰の岩山
神流川をはさんだ鬼石町の対岸にそびえる御嶽山は、山そのものが金鑽(かなさな)神社の御神体となっている信仰の山。国の重要文化財「多宝塔」や天然記念物の「鏡岩」を巡りながら、絶景の頂上を目指した。 ▲荘厳な境内を抜けて御神体の山へ
八高線「群馬藤岡」駅で降り立った。アツアツの缶コーヒーで一服しながら、鬼石方面行きのバスを待つ。早起きは慣れたが、それでも冬季の日の出前の出発は、さすがに寒さが身に凍みる。思えば、この駅に降り立つのは「桜山」「三波石峡」に続いて、シリーズ3度目だ。
鬼石町の「浄法寺」バス停で下車。小学校先の信号を左折すると、すぐに県境の神流川を渡る。車道を歩くこと約30分で、金鑽神社の大鳥居に到着した。途中、歩道がなくなるので、車の往来には気をつけたい。
参道を歩き出して数分で、右手の山側に国の重要文化財に指定されている「多宝塔」が見えた。天文3年(1534)の建立という、県有数の建造物だ。しばし足を止めて、見惚れてしまうほどに、そのフォルムは美しい。
巨樹に囲まれた境内は、静寂と荘厳な雰囲気につつまれている。この神社には本殿がなく、背後の山全体が御神体なのだという。恐れ多くも、これからその御神体へ登らせていただくのである。拝殿で丁重にお参りをしてから、登山口へと向かった。
▲掛け値なしの360度大パノラマ
登山口は、いきなり二股に分かれる。左は「菖蒲園」、右が「鏡岩」とある。右の「句碑の道」と名付けられた登山道を行く。木のチップが敷かれた長い長い階段状の道は、フワフワしていて足に負担がかからず、とても歩きやすい。両脇には、句碑や石像が延々と並んでいる。時々立ち止まり、俳句を読みながらゆっくりと行けば、息切れをせずに登ることができる。
登り切った所に、鉄柵に囲まれた国の天然記念物「鏡岩」があった。高さ4m、幅9m、傾斜30度の一枚岩は一見、何の変哲もない普通の岩に見えるが、これが柵を回り込みながら見る角度を変えていくと……。不思議不思議、濡れた岩面は怪しく光だし、周囲の木々を映し出すではないか!
その昔、高崎城が落城した際、火災の炎が映ったという言い伝えが残されている。
杉林を抜け、急な丸太階段をひと登りすると、ポンと明るい峠の尾根へ出た。左にあずま屋があり、広場には多くの石仏が並んでいる。「展望台」
は、この先すぐの岩山の頂上。慎重に登れば危険はないが、高所恐怖症には少々勇気を要するかも知れない。
スリルを味わってまで、よじ登った頂上には、掛け値なしの絶景が待っていた。文句なしの360度大パノラマだ! 北に赤城、榛名など群馬の山々を遠望し、西に神流川の流れに沿う鬼石の町並みと奥多野の峰々を眺め、南に秩父連山が続く。東は、どこまでも関東平野が広がっている。日が沈むまで見ていても、飽きることがないと思われるほどの素晴らしい眺望である。
▲温泉を目指して日だまりハイク
実際の御嶽山の頂上は、あずま屋から峠へもどり、西へ5分ほど急坂を登ったところにある。山頂には小さな山名板と、ここがかつて城山であったことを示す「御嶽城本郭跡」の標柱が立っている。杉林とヤブに囲まれていて、眺望はまったくない。昼飯は岩山までもどって、絶景の”天空レストラン“で食べることにした。
食後は峠から、ゆっくりと石仏を眺めながら南側へ下る。すぐに明治初年まで栄えていたという法楽寺の跡地へ出た。現在は池などが配され、公園として整備されている。左へ行けば、金鑽神社へもどれるらしい。マイカーの場合は、これが一周するハイキングコースのようだ。しかし「里山をゆく」の取材には、まだ、お約束の温泉と風呂上がりのビールが残っている。迷わず、右に進路をとり、神流川温泉を目指した。
ここからは広い車道を、ひたすら道なりに下るだけ。まったくと言っていいほどに往来する車はなく、眼下に神流川沿いの集落を眺めながら、エンディングにふさわしい日だまりハイクを楽しんだ。
「浄法寺」バス停から歩き出して約3時間半後に、神流川温泉「白寿」に到着(休憩を除いた歩行時間は約2時間30分)。全国から温泉通が訪れるという茶褐色のにごり湯は、なかなかのもの。思わぬところで、濃厚な泉質の温泉に出会えたことを喜んだ。
温泉のすぐ前に、「下渡瀬」バス停がある。帰りは、ここからバスで八高線の「丹荘」駅まで行き、電車で高崎までもどることにした。
(フリーライター/小暮 淳)

八高線「群馬藤岡」駅で降り立った。アツアツの缶コーヒーで一服しながら、鬼石方面行きのバスを待つ。早起きは慣れたが、それでも冬季の日の出前の出発は、さすがに寒さが身に凍みる。思えば、この駅に降り立つのは「桜山」「三波石峡」に続いて、シリーズ3度目だ。鬼石町の「浄法寺」バス停で下車。小学校先の信号を左折すると、すぐに県境の神流川を渡る。車道を歩くこと約30分で、金鑽神社の大鳥居に到着した。途中、歩道がなくなるので、車の往来には気をつけたい。
参道を歩き出して数分で、右手の山側に国の重要文化財に指定されている「多宝塔」が見えた。天文3年(1534)の建立という、県有数の建造物だ。しばし足を止めて、見惚れてしまうほどに、そのフォルムは美しい。
巨樹に囲まれた境内は、静寂と荘厳な雰囲気につつまれている。この神社には本殿がなく、背後の山全体が御神体なのだという。恐れ多くも、これからその御神体へ登らせていただくのである。拝殿で丁重にお参りをしてから、登山口へと向かった。
▲掛け値なしの360度大パノラマ
登山口は、いきなり二股に分かれる。左は「菖蒲園」、右が「鏡岩」とある。右の「句碑の道」と名付けられた登山道を行く。木のチップが敷かれた長い長い階段状の道は、フワフワしていて足に負担がかからず、とても歩きやすい。両脇には、句碑や石像が延々と並んでいる。時々立ち止まり、俳句を読みながらゆっくりと行けば、息切れをせずに登ることができる。登り切った所に、鉄柵に囲まれた国の天然記念物「鏡岩」があった。高さ4m、幅9m、傾斜30度の一枚岩は一見、何の変哲もない普通の岩に見えるが、これが柵を回り込みながら見る角度を変えていくと……。不思議不思議、濡れた岩面は怪しく光だし、周囲の木々を映し出すではないか!
その昔、高崎城が落城した際、火災の炎が映ったという言い伝えが残されている。杉林を抜け、急な丸太階段をひと登りすると、ポンと明るい峠の尾根へ出た。左にあずま屋があり、広場には多くの石仏が並んでいる。「展望台」
は、この先すぐの岩山の頂上。慎重に登れば危険はないが、高所恐怖症には少々勇気を要するかも知れない。
スリルを味わってまで、よじ登った頂上には、掛け値なしの絶景が待っていた。文句なしの360度大パノラマだ! 北に赤城、榛名など群馬の山々を遠望し、西に神流川の流れに沿う鬼石の町並みと奥多野の峰々を眺め、南に秩父連山が続く。東は、どこまでも関東平野が広がっている。日が沈むまで見ていても、飽きることがないと思われるほどの素晴らしい眺望である。
▲温泉を目指して日だまりハイク
実際の御嶽山の頂上は、あずま屋から峠へもどり、西へ5分ほど急坂を登ったところにある。山頂には小さな山名板と、ここがかつて城山であったことを示す「御嶽城本郭跡」の標柱が立っている。杉林とヤブに囲まれていて、眺望はまったくない。昼飯は岩山までもどって、絶景の”天空レストラン“で食べることにした。
食後は峠から、ゆっくりと石仏を眺めながら南側へ下る。すぐに明治初年まで栄えていたという法楽寺の跡地へ出た。現在は池などが配され、公園として整備されている。左へ行けば、金鑽神社へもどれるらしい。マイカーの場合は、これが一周するハイキングコースのようだ。しかし「里山をゆく」の取材には、まだ、お約束の温泉と風呂上がりのビールが残っている。迷わず、右に進路をとり、神流川温泉を目指した。
ここからは広い車道を、ひたすら道なりに下るだけ。まったくと言っていいほどに往来する車はなく、眼下に神流川沿いの集落を眺めながら、エンディングにふさわしい日だまりハイクを楽しんだ。
「浄法寺」バス停から歩き出して約3時間半後に、神流川温泉「白寿」に到着(休憩を除いた歩行時間は約2時間30分)。全国から温泉通が訪れるという茶褐色のにごり湯は、なかなかのもの。思わぬところで、濃厚な泉質の温泉に出会えたことを喜んだ。
温泉のすぐ前に、「下渡瀬」バス停がある。帰りは、ここからバスで八高線の「丹荘」駅まで行き、電車で高崎までもどることにした。
(フリーライター/小暮 淳)

Posted by ちいきしんぶん at 10:09
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