2006年09月28日

東北漫遊紀

ちいきしんぶん2006/9/1号掲載
萬堂の旅するエッセイ 東北漫遊紀
民話の郷を駆け抜け、目指すは鉄の町「釜石」だ


「おお!これが十和田湖だ!」

■旅の極意は「目移りしない」
津軽を目指しひたすら北上。弘前市内の居酒屋で「津軽三味線」のライブと地酒を堪能した翌日、朝も早よから、奥入瀬渓流でたっぷりマイナスイオンを浴びた。無謀といえば無謀な東北の旅も後半に入る。前半は本紙7月21日号に掲載されているので、前のちいきしんぶんをひっくり返してご一読あれ。

 
 さて2泊目の目的地は、岩手県は釜石市である。何と言うことはない。今回の旅の相棒が、かつてのラグビー仲間が釜石に棲息しておるので、久しぶりに酒を酌み交わすのだ!と意味もなく威張っていたからだ。
 そんなもの男同士で勝手にやりたまえ、と言いたかったが、その友人がこれまた男前。同席しない手はない。
 奥入瀬渓流と、十和田湖を後にしてまずは東北自動車道で南下せねばなるまい。国道103号線をおよそ45km、十和田ICを目指す。
 どこに行っても晴れ女。いやあ、緑輝く田舎道の、なんと気持ちいいこと。とか言っているうちにまた高速道路だもの。ここから東北自動車道・花巻JCTを経由し、まだ建設途中の釜石自動車道に入る。15kmも走れば東和ICで降りることになる。
 おおおお、そういえばこのあたり、花巻市は宮沢賢治のふるさとではありますまいか。
『宮沢賢治童話村』、『宮沢賢治イーハトーブ館』『ポランの広場』等々、賢治ゆかりの箱ものがあること、あること。ま、寄ったつもりで後でガイドブックでも読むことにしようっと。
 そうだ、ここで私の旅の極意を伝授いたしましょう。
「せっかく来たからと、欲張ってはいけない。目的は明確に。目移りしそうなものに出合ってしまったら〈今度来たときに寄ろう〉というゆとりが大切」説得力ないな、いつも行き当たりばったりだから。ついでにお知らせ。9月8、9、10日と3日間連チャンで400年の歴史を誇る「花巻まつり」があるらしい。
山車、神輿の参加台数は日本一とか。ほっほ〜。事前にきちんと調べてからお出かけ下さいね。
 次は柳田国男の「遠野物語」で有名な遠野市を通過する。物語の中に出てくるカッパの出る川だとか、ガードレールにまでカッパのイラストが描かれ、カッパ三昧の町であった。町おこしって大変なのね。
 ここで言い訳をしておかなければならない。こののどかな東北の田園風景を読者のみなさまにお見せできないのは、デジカメのバッテリーが切れてしまったからである。
 アナログの一眼レフも持っていったのだが、フィルムがなかった。それなら買えばいいと思うだろうが、本体の電池も切れていた。お粗末。これは、みなさんのご自身の目で確かめていただきたい。うん、それはもっともだ。
 遠野を過ぎ、釜石まであと40km弱。いいかげん疲れたぞ。


■釜石の「海の幸」は、美味かった
じゃ〜ん、ここが釜石でございますか。う〜ん、なんかこう、うまく表現できないんだけれど、ちょっと重い感じだね。え? それもそのはず「鉄のまち」だから? あ〜なるほどね。
 日本近代製鉄業発祥の地。安政4年に日本で初めて洋式高炉による鉱石製錬
に成功したと。入り組んだ三陸のリアス式海岸と背後に迫る山並みが、まちを圧迫しているような印象である。
とりあえずビジネスホテルを確保し、町を散策する。すかさずカメラ店を探
し出し、フィルムと電池を購入した。ぬかりはないな。

な、な、なんだここは! 何ともはや懐かしいような光景ではないか。
かつて、前橋にもこのような一画があったと記憶しているが。
 ここ釜石の飲屋街は、その名も「呑ん兵衛横丁」。まだ開店前の時間帯とあって閑散としている。それがまた郷愁を漂わせるのだ。
「どっから来たの?」
 いきなり店から顔を出したオバちゃんに声をかけられた。いかにも地元の人間ではないオーラを発していたらしい。
「群馬県からでっす」。
 元気に答え、群馬県をアピールしてみた。そんな遠いところから物好きだね、と苦笑いされたがめげない。
「よかったら後で寄ってね」
 寄らなかった。ごめん、オバちゃん。
 そうして日は暮れてゆく。7歳の息子を連れて登場した友人が、割烹料理屋をリザーブしておいてくれた。さすが三陸海岸、魚介の宝庫である。気仙沼名物フカヒレは遠慮なくいただいたが、天然ホヤの姿焼きだけは手が出せなかった。
まだまだ修行が足りないようである。
 結局どうやってホテルにたどり着いたものやら、記憶は曖昧にして二日酔いは最高潮。
写真も撮らずに一夜が明けた。釜石在住の彼はこの日、朝5時にはラグビーの遠征に出かけると言っていたが大丈夫だろうか。そう、彼は「釜石シーウェイブ」の優秀なるコーチなのだ。
 二日酔いの身体に、クネクネクネクネとしたリアス式海岸の道路はキビシイと知った。カーブの度に胃袋がひっくり返りそうになる。
 気仙沼から内陸方面に向かい、一関で東北自動車道へ。仙台、福島、郡山と逃げ帰るように東北を後にしたのであった。
 教訓! 何事もほどほどに。特に旅先では、調子に乗って酒に飲まれてはいけない!
 ともかくお疲れさまでした。  〈萬堂〉

Posted by ちいきしんぶん at 17:50 │2006年・特集記事