2006年07月21日
東北漫遊記
ちいきしんぶん2006/7/21号掲載記事
東北漫遊紀萬堂の旅するエッセイ 越後漫遊記
北の酒場で三味線に酔い、奥入瀬渓流で心洗う旅
■津軽がオイラを呼んでるぜ
思い立ったらどこまでも。それがオイラの日本旅。今度の旅は青森・弘前の酒場で「津軽三味線」の生ライブを堪能し、憧れの白神山地でブナの原生林を目の当たりにして、奥入瀬渓流を歩く。さらに岩手・盛岡、花巻を経由し、宮城県釜石市に住む友人と酒を酌み交わす。オオ、珍しく完璧な計画。
ダイナミックなんだか、ささやかなんだかよくわからない旅である。だが、弘前は遠かった。今回の目的の最北にある弘前まで、前橋から600km強。それも、ほとんど東北自動車道1本である。飽きるね〜、高速道路は。
東北漫遊紀萬堂の旅するエッセイ 越後漫遊記
北の酒場で三味線に酔い、奥入瀬渓流で心洗う旅
■津軽がオイラを呼んでるぜ
思い立ったらどこまでも。それがオイラの日本旅。今度の旅は青森・弘前の酒場で「津軽三味線」の生ライブを堪能し、憧れの白神山地でブナの原生林を目の当たりにして、奥入瀬渓流を歩く。さらに岩手・盛岡、花巻を経由し、宮城県釜石市に住む友人と酒を酌み交わす。オオ、珍しく完璧な計画。
ダイナミックなんだか、ささやかなんだかよくわからない旅である。だが、弘前は遠かった。今回の目的の最北にある弘前まで、前橋から600km強。それも、ほとんど東北自動車道1本である。飽きるね〜、高速道路は。
いやあ〜〜〜〜、着いたよお、弘前。いきなり到着したワケじゃないが、道中を説明しても退屈なだけだから。何というか、雪深い地域特有の重さはあるんだけど、しっとりしたいい町並みだ。商店も一軒一軒の間口は狭いが、「生きている」感じがする。この町は静かに根太く息づいている。
ビジネスホテルにチェックインし、さっぱりシャワーも浴びた。相棒よ、キミの「三味線酒場情報」は確実だろうね。ミスったら後々までねちっこく言うからね。
そんなこんなで、酒場の口開け一番客になった。おお、これはシブイ。
黒板張りの床に赤い座布団。一枚板の座卓がいくつか並び、その一画に陣取る。座敷の中央が広く空いているのは、ここで津軽三味線の弾き手が生演奏を行うからなのだ。マイクなんかない。生音を味わうのである。
生演奏の開始時間は7時。それまで土地の山海の珍味をガッツリいただく。当然ながら、どれも美味い!そして、青森の地酒、三浦酒造の「豊盃(ほうはい)」が出る頃に、彼はやってきた。
若い。しかも、いい男。凛とした細身の体から、津軽三味線に人生を賭ける男の侠気が伝わってくる。ちなみに名前は「小山内薫」氏。若手有望株の弾き手だそうだ。口開けには我々2人だった店内も、もはや満席状態。しかも職場のボウリング大会の打ち上げといった、やかましい団体もいる。いやだなあ。
ところが、ところがであるぞ。あまたのおにぎやかな連中は、さすが津軽で生きている人たちであった。茶髪もピアスも、演奏が始まると途端に黙して語らず。
しかも、聴きどころを心得ているのである。拍手をするツボが実に見事であった。まさにこの土地で、三味線は大衆芸能として暮らしに根付いているのであった。う〜む。
結局、9時からの2回目の演奏もたっぷり聴いた。隣の席にいた自称、東京の設計士と意気投合し、酒も飲んだ。耐震強度がらみのことがちらりと脳裏を横切ったが。
■心悪しき者、大自然にやられる
青森は「朝ごはん」も美味い。ゆうべ大酒飲んだのにー。ライブの余韻もそのままに、米、味噌汁、焼き魚、出汁巻き卵、もう、何でも美味い。さて、ここで残念なお知らせがあります。この東北の旅は完璧な計画であったはずなのに、ミスがあった。この冬はとにかく雪が多く、それでなくても軽装で白神山地に入るなんて「バカじゃないの」といわれても仕方ないらしい。やっぱり事前調査が甘い。そうか。じゃあ、世界遺産はパス。
こうして、あきらめの早い我々は、一路奥入瀬渓流に向かう。国道102号線を、十和田湖に沿って八戸方面へ。
「十和田湖ってこんなにでかいの?」霧が巻いていて絶景とはいかなかったが、その雄大さは実感できた。
おろ? もうこのあたりから奥入瀬かい? なだらかな吾妻渓谷という感じではある。
いやあ、しかし、どうだい。この眩しいばかりの深緑と清冽な水の流れは。銚子大滝、白糸の滝、雲井の滝、双白髪の滝、九段の滝、どれも絶景。滝は哀しいほど美しい。
ブナの林もシダ類もこれは育ちすぎだろう。スケールメリットがさっぱりわからない。葉っぱの一つひとつが、天狗の団扇かというほどである。
いやあ、たっぷりマイナスイオン吸い込んでリフレッシュした。普段の邪悪な心がすっかり洗われたようであった。大自然の偉大さにやられました。
■金銭感覚にズレがある
さて、これから盛岡に向かうが、途中、個人的に大好きな道の駅に立ち寄る。「道の駅・奥入瀬」。フリーマーケットというか、ガラクタ骨董市をやっている。ここにも「人情市」はあったのだ。おろ? ずいぶん年季の入った盃が。
「おじさん、これいくら?」「いっご、にずうえんだ(1個20円)」。あまりの安さに「ええええ?」と言ったら、おじさん「たげえが?(高いか?)」と返す。いやいやいや、そうじゃなくて。いくらなんでも平成のこの世に1個20円の盃を値切ることはなかろうに。結局盃6個と徳利2本買って300円也。それでいいのかなあ。
商売っ気のなさにかえって恐縮してしまった。
あれれ、まだまだ東北の旅は続くんだけれど、紙幅が足りなくなってしまった。これから、花巻、遠野、釜石、気仙沼、そしてゴールの前橋まで、予測不可能な出来事が待っているというのに。
また、そのうち続編をお届けしましょう。良い子はマネをしないで下さい。〈萬堂〉
Posted by ちいきしんぶん at 13:45
│2006年・特集記事

