2008年10月01日

大正・昭和・平成の歩みを編集 南八幡郷土史会

ちいきしんぶん2008/10/3号掲載


■大正・昭和・平成の歩みを編集 南八幡郷土史会

南八幡郷土史会過去より未来への橋渡しとして 郷土からのメッセージを発信
 烏川と鏑川にはさまれた、緑豊かなデルタ地帯。旧多野郡八幡村の風土や民俗の歴史を、後世の人たちへ語り継ごうと、郷土史を作成し続ける「南八幡郷土史会」。大正・昭和・平成の激動を生き抜いてきた会員たちが、その記録を未来へ向けて発信している。このたび『みなみやはたの歩み 大正・昭和・平成の郷土史』第8集を刊行した。






■薄れかけた地域の記憶を残すために

 南八幡地区とは、昭和31年に高崎市に合併した旧多野郡八幡村のことをいう。現在の高崎市山名町、根小屋町、木部町、阿久津町の4町(約1800世帯)から構成されている。なぜ合併後に「南」が付いたのか?
 昭和20年代後半から30年代にかけて、『昭和の大合併』といわれた市町村合併が全国的に行われた。碓氷郡の八幡村が、ひと足先に合併をしていたために、後から合併した旧多野郡八幡村は、「南八幡」と呼ぶようになったという。
 「今から7年前、平成13年(2001)のことです。合併から50年近くが経過して、だんだんと南八幡の住民から、諸々の出来事が記憶から薄れかけてきていることに誰もが危惧するようになりました。21世紀の冒頭に、公民館が携わる生涯学習事業の一環として、私たちの住んでいるこの南八幡の地域を、一度見つめ直してみようということになりました。私たちは、先人たちが営々と築いて来たこの地に、住まわせていただいているわけです。そして、現在を生きている私たちは、未来の人たちのために、この地を守っていかなければならない。そんな思いから、何かお役に立てるのではないかと、郷土史を作成して後世へ残す作業を始めました」
 と、当時の南八幡公民館長で現・南八幡郷土史会会長の小嶋博さん。
 会の発足と同時に、編集委員を結成。情報と記事の収集、会員への原稿依頼に追われた。
 第1集のテーマは「水」。南八幡地区は烏川と鏑川にはさまれたデルタ地帯で、昔から水の恩恵を受けながら暮らしてきた。と同時に、水害との戦いの歴史でもあった。貴重な写真を交えながら、当時を知る年配者からの寄稿文を編集して、水との関わりを特集した記念すべき創刊号に仕上がった。
 第2集「道と生活」、第3〜6集は「民俗」を4回に分けて特集。平成18年に発刊した第7集では、激動の時代「昭和の記録」の特集を組み、戦中や終戦直後の生々しい体験記録が多く寄稿され、160ページを超える大作となった。
 この年、同会は地道な活動が高く評価され、高崎市より「高崎市生涯学習まちづくり賞」の表彰を受けている。
 


■命の燃えつきるまで守り続けたい

 発足から8年目を迎え、今夏には2年ぶりに念願の第8集「昭和の記録その2」を発刊した。
 「予定よりだいぶ遅れてしまいましたが、なんとか第8集を発刊することができました。今回も会員から、時代の一コマを記した貴重な体験談が寄せられました」
 この8年の歩みは、決して順風満帆ではなかったという。わずかながらでも創刊当時はあった市からの補助金の打ち切りや寄稿者の減少など、現在も課題は山積している。それでも「後世に伝えるべきテーマやネタは、まだまだ尽きません。こうやって活字にして一つ一つ残すことに意義ある」と、編集への意欲を見せる。すでに次回第9集の発行が決定し、特集「地域の年中行事」に向けての準備に取りかかっている。
 会の活動は郷土史の編集がメインだが、会員相互の親睦も兼ねた「歴史探訪の旅」も毎年開催している。今までに、木部城とゆかりの深い箕輪城を訪ねたり、地域内の古墳群の公園化に備えて、先進地である前橋市の大室公園や高崎市の保渡田八幡塚古墳などをめぐっている。
 「将来、この地区を歴史の里にしたいという構想があります。そのためにも先人たちから引き継いだ南八幡の歴史を、私たちも限りある命の燃えつきるまで守っていかなければなりません。年々開発が進み、団地や住宅が増え、新しい住民も多く入って来ました。その人たちへのメッセージとしても、自分たちはどんなルーツの土地に住んでいるのか、伝統的な習俗や文化、風土、歴史遺産などを伝える使命が私たちにはあります。南八幡地区には、山名八幡宮、上野三碑の山ノ上碑、金井沢碑などの貴重な文化遺産や伝統芸能および豊かな自然が残されています。また名もなき先人たちが築いてきた生活の足跡もあります。そういった今まで文書等の記録で残されなかった記憶や伝承などを、今後も大正・昭和・平成の時代を生き抜いてきた者として、頭の中に入っている史実を書き留めていきたいと思います」
 会員数53名、平均年齢は65歳以上。編集とは根気もいるし、体力を必要とする地道な作業である。でも、その足跡は未来へ続く、大きな架け橋となるだろう。



※同会では、ご希望の方に郷土史『みなみやはたの歩み』のバックナンバーを1部500円にて、お譲りして います(在庫のない集もあります)。

  • 問合せ先/市立南八幡公民館
     TEL 027・346・5587 



  • Posted by ちいきしんぶん at 10:45 │2008年・特集記事