2007年08月02日

社会教育への貢献は、生きてきた証

ちいきしんぶん2007/08/03号掲載


感謝を込めて歌い続けたい
三井久味子さんは、永年教育の現場に携わり、性・エイズ教育を通して生き方を考えさせる指導に取り組んできた。その一方で7年前、中学校長定年を翌年に控えたときに、シャンソンの勉強を始めた(高橋律子氏に師事、その後安達淳一氏に師事し現在に至る)。異なるとも思えるそのふたつの経験が、自身の中で調和した。「ストップ・ザ・エイズ」の活動が、シャンソンのチャリティーコンサートという形で結実したのである。今後もさらなる活動の場を広げたいと、意欲を見せる三井さんには、頼もしい仲間の支えがあった。

 




◆シャンソンを愛する理由
 30数年にわたり群馬県内の小・中学校、教育行政等で教職に従事してきた。現在でも女子栄養大学、健康福祉大学で非常勤講師を務める現役である。
 そんな三井さんが本格的にシャンソンを学び始めたのは1999年4月のこと。定年を一年後に控えた頃だ。
 「私は国語の先生だったんです。自分で詩集を出したこともありますが、言葉を強く意識するし、大切にしているんですね。シャンソンの歌詞はとても文学的で、人生の喜怒哀楽や、心の深い部分を表現しています。それぞれの曲にはさまざまな物語があって、自分の経験してきたことと重なるところが大きいですね」
 中学校長を退職した翌年の夏、念願のコンサートが実現。昨年はホテルやレストランなどで6回ものディナーショーを開いた。
 また、これまで2回の「ストップ・ザ・エイズ チャリティーコンサート」を開催。
 現役の頃、心血を注いだ性教育やエイズ予防の活動と経験が、歌とひとつになったのである。


◆ストップ・ザ・エイズへの取組み
 1997年、高崎スズラン前の「タブの木」に大きな赤いリボン(レッドリボン)が掲げられた。レッドリボンとは、HIV感染者・エイズ患者への理解と支援の意思を表すシンボル。エイズに関して偏見を持っていない、エイズと共に生きる人々を差別しないというメッセージが込められている。
 タブの木のレッドリボンは、世界エイズデーに賛同し、理解してくれた地域の人々の協力で実現した。三井さんはその働きかけに積極的に取り組んだのである。また全国に先駆けて、高崎市内の全小・中学校、高校でストップ・ザ・エイズの指導を取り入れ、文部科学省の指定を受けた。
 「その後、高崎市の活動が絶賛されて、厚生労働省から多額の助成金をいただくことができたんです。これは教育機関としては全国でも本当に珍しいこと。そうした実績は私の中で大きな後押しになりました」
 WHO(世界保健機関)や国連は、日本の若者に対して、大きな危機感を持っているという。それは、あまりにもエイズに関する知識や理解がなく、無節操な性行為を繰り返しているからである。また、指導が行き届いていないことにも目を向けなければならない。

 



◆仲間が「耀の会」を発足
 仕事においても人生においても、数々の経験を重ねてきた三井さん。とても言葉では言い表せない、辛く苦い経験もあったという。
 「それでも校長や行政など要職を与えてくださった周囲のやさしい寛容と許容があったから、いまの自分があるんです。退職をした後、私は過去をすべて清算して生き直してみたいと思ったこともありました。でも、それは違ったんですよね。過去が私の財産で、それをベースにもっと新しい自分を発見し続けること、それこそが『生き直す』ということだと」
 そして、今年7月1日、元教員の仲間が中心になり「耀(よう)の会」が発足した。これは三井さんの後援会でもあり、シャンソンを通して子育てや教育の啓もう活動を行う会でもある。
 「共に高崎市の女性校長を務めた3名(滝沢信子会長、岸純子副会長、平方喜代子副会長)を中心に、およそ50人のフロントメンバーがコンサートの広報、チケットと販売活動などを手伝ってくれています。9月には3回目になるストップ・ザ・エイズ チャリティーコンサートを行うんですよ(詳細は別記)」
 三井さんは、自分のいいところも悪いところもスッポリ包み込んでくれた仲間の支援ほど、心強いことはないと目を潤ませる。
 「だから、がんばれるんですね。私はいくつになっても輝きを失いたくないし、いつもいつも見果てぬ夢を追い続けていきたいと思っています。そして、私が語りかけるシャンソンで傷ついた心が癒されたり、勇気を持てる人がいてくれたら│」
 歌手としての高みを求めるより、少しでも長く多く歌い、語り続けたいのだともいう。そして教育者として、学生たちを豊かな感性を持った人間に育てていきたいと言葉を結んだ。

 



■「耀の会」
ひとは生涯に幾たび、真に輝きわたる心に出会うでしょう。ひそやかな自らの在り方の中で、憶することなく、自分を開示できたら、この上ない生きる喜びにちがいありません。「耀」とは、輝き、きらめき。耀(かがよ)ういのちを三井久味子のシャンソンと共に。
事務局代表 滝沢信子
事務局電話 027-324-5451
●会員募集中●

Posted by ちいきしんぶん at 11:10 │2007年・特集記事